病気のお話・慢性咳嗽
Dr中島 西岡病院 院長

中島 茂夫
略歴
1977年 札幌医科大学医卒業。麻酔科入局。
1980年 札幌医科大学第3内科入局。
沖縄県立中部病院ICU研修。
恵愛会南一条病院 呼吸器科医長を経て1991年4月より現職。

 何週間も続く咳を訴える患者が増加傾向にあるそうです。
 長引く咳は、睡眠障害など日常生活に影響を及ぼすだけでなく、感染症であれば感染拡大の危険もあり、一刻も早く診断し、咳を止めることが望まれます。
 発症後、3週間以内の急性咳嗽の多くは、かぜ症候群によるものです。自然に治りますが、一部は感染に引き続いて咳嗽が遷延化します。
 咳が続く場合、いろいろな疾患が考えられます。

胸部X線検査で、肺に異常影のある疾患
●●●肺炎、肺結核などの感染症、間質性肺炎、肺癌など

聴診で、肺雑音を聴取し、肺機能上異常を示す疾患
●●●喘息、慢性閉塞性肺疾患など
咳イラスト
これらを除き、8週間以上持続する咳が唯一の症状を呈する場合、慢性咳嗽と定義します。

  • 咳喘息―喘鳴を伴わない喘息
  • アトピー咳嗽―アレルギー素因のある方
  • 副鼻腔気管支症候群―鼻・副鼻腔炎と慢性気管支炎などの合併
  • 胃・食道逆流症―胸やけを伴う
  • 一部の血圧治療薬         など
 これらが慢性咳嗽の原因となる代表的で頻度の高い疾患です。
それぞれに有効な薬剤があるため、薬の効果を観ることで診断可能となります。
咳は誰でも出ます。

 3週間以上続く時には、医療機関を受診することを勧めます。

相談イラスト
―日本呼吸器学会・咳嗽に関するガイドラインよりー

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